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黄金 [映画 *あ]


世界名作映画全集72 黄金 [DVD]
「黄金」、観ました。

一攫千金を夢に見て、金鉱を探すべく山の奥深くへと入った男達の波乱に満ちた道中を描く。
1948年の作品、監督はジョン・ヒューストン。

1920年代のメキシコ。
アメリカからの出稼ぎ労働者(かな?)のドブズは職にあぶれ、その日暮しの毎日を送っていた。
同じ境遇のカーティンと共に入った安宿で、年老いた山師のハワードと出会う。
メキシコの山奥深いところでは、黄金の眠る鉱脈が沢山あり一攫千金も夢ではないと言うハワード。
その話に乗ったドブズとカーティンは所持金すべてつぎ込み、ハワードと共に山へ旅立つのだった。

持ちつけない大金を目の前にしたばっかりに、欲に囚われてしまい大切なモノが見えなくなってしまう・・・。
そんな悲しい人間の性を浮き彫りにしたストーリーでした。
黄金に魅入られ、次第に猜疑心の塊となっていくドブズを演じるのはハンフリー・ボガード。
ボガードと言えば「カサブランカ」(その昔、鑑賞。ほとんど覚えていない^^;)、「麗しのサブリナ」ぐらいしか観たことがないので、印象と言えば「麗しのサブリナ」の紳士的なイメージしか持ってなかった。
が、本作で演じたドブズの金に対する執着心、また獲物を離すまいとギラギラ目を光らせるところなど、段々と嫌な男になっていく様はその紳士のイメージを思いっきり覆えすものでした!
流石は役者さん、変幻自在ですね~。

それにしても古い映画なんですが、どうしてこうも面白いのでしょうか?
私はいつも最初に“うわっ、古っ!”って突っ込んでしまう(笑)
ド派手な今時の映画に慣れきったためか、古い映画って若干の拒絶反応みたいなものを感じてしまう(私だけ?^^)
それでも、モノの何分もしない内に知らず知らず引き込まれてしまってるんですよね、それが不思議。
アクションシーンなんかも今の作品とは比べ物にならない位、のんびりしてるのに。
そういう所に変に力を入れすぎてない分、ストーリーで勝負しようとしているからなんでしょうかね。
マッタリし過ぎてる所が無きにしも非ず、なんだけどそれさえも良しと思えるし^^

個性があって魅力的なキャラクターも欠かせません、本作では山師のハワードがそうです。
人生の酸いも甘いも噛み分け、浮き沈みを経験してきた彼の人情味溢れる笑顔がいい。
年の功でドブズとカーティンに含蓄のある言葉を垂れるのですが、要はそれに聞く耳を持てるか持てないか。
そして、何事も前向きに考えることができるかどうか。
苦労が水の泡に帰したとしても、“命あっての物種”とばかりに笑い飛ばせる度量。
あの器のデカさこそ、人生を幸せに変えていける秘訣ではないか、とハワードを見て思った次第。

THE TREASURE OF THE SIERRA MADRE  (1948)
 監督 ジョン・ヒューストン
 ハンフリー・ボガード ウォルター・ヒューストン ティム・ホルト 
 ブルース・ベネット バートン・マクレーン アルフォンソ・ベドヤ
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レギオン [映画 *ら]


レギオン コレクターズ・エディション [DVD]
「レギオン」、観ました。

神から見放された人類を襲うのは天使。
砂漠のど真ん中のダイナーを舞台にしたサスペンスアクション。


見渡す限り同じ景色が続く砂漠にポツンと存在するダイナー。
店主のボブは偏屈者で不機嫌、息子のジープはダイナーの隣にあるガレージで故障した客の車を修理していた。
コックのパーシーはフライパンを振り、ウエイトレスのチャーリーは身重の身体で煙草をふかす。
店内には数人の客、いつもと変わらない日常は一人の老婆の出現によって暗転する。
可愛いおばあちゃんに見えた老婆が、突如豹変しダイナーはパニック状態に陥る・・・。

神様がいよいよ人間を見放す時が来てしまったようです。
神から遣わされた天使達にとり憑かれた人間は凶暴化、そしてダイナーを襲い始めます。
そんな中、1人の男が救世主の如く現われる。
彼こそ大天使・ミカエル、神に背き人間側に立って戦うことを決意したその人だった。

こうやって書いているととっても壮大な世界観に思えますが、スケール的にはそれ程の物を感じないかもしれません。
なんせ舞台となるのはこじんまりとしたダイナーと、その前の駐車スペースが殆ど。
全世界を襲った未曾有の出来事であるはずなのですが、この場所以外は描かれていないのでその実感は湧きません。
登場人物であるダイナーの面々が事態が飲み込めずにいるのは、勿論言うまでもありません。
通常から陸の孤島状態のこのダイナーが外界との繋がりを感じることができるのは、テレビやラジオの放送だったり、電話だったり。
時々訪れるお客さんとの世間話も入りますよね。
それらの通信が途絶え、電気の供給が絶たれ、おかしな老婆が現われても、彼らには何が起こっているのか理解できない。
挙句、天使だという男が現われ、世界の終わりを告げられる・・・。

こういう世間と隔絶されたシチュエーション、というのは私の好みであります。
ダイナーの人たちが知り得ない他の地域のパニック描写は一切省き、彼らの周りのミニマムな世界のみを見せていく・・・っていうのは個人的には面白かったです~。
「ミスト」なんかもそうだったと思うし。)

でもまあ、この世の終焉って言う危機感はあんまり感じられなかったのは事実かな。
それもこれも、とり憑かれてしまった人たちが怖いんは怖いんだけど、若干違うテイストが混じってたせいではなかろか?
だって、7:3くらいの割合で“笑い”が混入してましたよね、絶対!
アイスクリームメンなんて、こっちが“ガックーン”となってしまいそうでしたもん^^;
役者さんたちは皆、結構シリアスな演技をしていたので、このギャップが堪りませんでした。
この作品がB級だと云われる所以も、この辺にあるんでしょうな~、おそらく。
(最後は思いっきり駆け足だったし・・・だって100分しかないから>▽<)

・・・でも、私、嫌いじゃなかったですけどねっb(^^

LEGION  (2010)
 監督 スコット・スチュワート
 ポール・ベタニー ルーカス・ブラック タイリース・ギブソン
 エイドリアンヌ・パリッキ チャールズ・S・ダットン ジョン・テニー
 ケヴィン・デュラント ウィラ・ホランド ケイト・ウォルシュ デニス・クエイド
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情婦 [映画 *さ]


情婦 [DVD]
「情婦」、観ました。

アガサ・クリスティ原作「検察側の証人」の映画化。
監督は「麗しのサブリナ」、「アパートの鍵貸します」のビリー・ワイルダー。

ロンドンきっての腕利き弁護士・ウィルフリッド卿のもとに依頼人が訪れる。
ヴォールと名乗る男は、自分に資産家の未亡人殺しの容疑が掛けられているが無実である、とウィルフリッドに助けを求める。
ヴォールのアリバイを証明できるのは妻のクリスティーネただ1人。
ヴォールの無実を信じたウィルフリッドは弁護を引き受ける。
ところがいざ、法廷が開廷されるや、検察側の証人として現われたのは他でもないクリスティーネ。
彼女は思いもよらない証言を語り始め・・・。

記事を書こうとしてDVDを検索してみたら、ジャケットの写真がお色気ありますね~^^
断っておきますがこの映画、“法廷ドラマ”です。
はて、こんなシーンあったかしら?・・・としばし考えてしまいましたが、あった、あった、ありました。
殺人容疑をかけられたヴォールと、彼の妻であるクリスティーネの出会いの場面の回想です。
大戦中、ドイツに駐留していたヴォールが偶然入った酒場のステージで歌っていたのがクリスティーネ。
その時のシーンでした、食べるのにも困っているクリスティーネに“コーヒーはどうだい?”、“砂糖は?”なんて言いながら意気投合(?)してしまう。
彼女の魅力に参ってしまったヴォールは、クリスティーネと共にロンドンに帰国、そして結婚となった訳なんですが、思い当たるお色気シーンらしきものはここのみ。
あとは恰幅のいいウィルフリッド弁護士が活躍する法廷劇です。

ウィルフリッド卿は重病からの病み上がりの身体で、この弁護を引き受けます。
それもこれも、ヴォールの人柄がウィルフリッドの眼鏡にかなったから(←文字通り、観たらお分かりかと^^)。
体調を気遣ってまくし立てる付き添い看護師の注意も聞かず、徐々に弁護にのめり込んでしまう弁護士。
どうやらヴォールはひょんなことから知り合った未亡人と親しくするうちに、殺人事件に巻き込まれてしまったらしい。
状況証拠はヴォールに不利。
そんな彼のアリバイを証明してくれるのはクリスティーネだけなのだが、家族の証言と言うこともあってウィルフリッドは彼女の出廷を見合わせる。
ところが、愛妻は検察側の証人として出廷し、あろうことか夫に不利な証言を始めてしまうのです。
これは一体どういうことか、事件の真相はどこにあるのか?

惹き込まれた!
法廷ドラマってやっぱり面白い。
百戦錬磨の敏腕弁護士・ウィルフリッドの采配も見事。
心理的に揺さぶりをかけるのが上手い。
裁判を通して明らかになるヴォールとクリスティーネ夫婦の知られざる一面。
分かりそうで分からないモヤモヤの向こうにある真実に振り回されました~。
最後の最後まで、気を抜けなかったです。

マレーネ・デートリッヒって名前だけは知っていたけど、映画を観るのは初めて。
個性的な魅力がある人ですね。
一見、冷めているけど内にものすごい情熱を秘めた女性を熱演でした、脚線美もお見事^^

ウィルフリッド卿と付き添い看護師のやり取りが、この作品にコミカルなエッセンスを加えていました。
・・・と言ってもずっと、うるさいオバサンだな~、なんて思ってたんですが(スミマセン^^;)
ラストでは、ウィルフリッドの一番の右腕なのはこの看護師だったんだ!と気付かされて妙に微笑ましかったし、ちょっと救われた気分になったかも。

エンドロールが流れる中、“この映画をまだご覧になってない方のために、ラストは話さないで下さい。”というお願いが流れてビックリ!
そんな「シックスセンス」みたいな事、1957年からやってたんですね~!

WITNESS FOR THE PROSECUTION  (1957)
 監督 ビリー・ワイルダー
 タイロン・パワー マレーネ・デートリッヒ チャールズ・ロートン
 エルザ・ランチェスター ジョン・ウィリアムス ヘンリー・ダニエル
 イアン・ウォルフ ユーナ・オコナー トリン・サッチャー
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ルックアウト/見張り [映画 *ら]


ルックアウト/見張り [DVD]
「ルックアウト/見張り」、観ました。

交通事故が原因で記憶障害を負った青年の日常と、彼を巻き込んで銀行強盗を企てようとする犯人グループのたくらみを描いたサスペンス。

主人公のクリスを演じるのはジョセフ・ゴードン=レヴィット。
はい、彼目当ての鑑賞ですっ(^^*
映画冒頭、彼女と友人カップルをオープンカーに乗せハンドルを握るクリス。
周りは何も無い片田舎の1本道、クリスの無謀な運転のせいであっと言う間もなく大事故が起こる。

それから4年後。
恋人も友人も失い、クリス自身も脳に損傷を受け記憶障害という後遺症が残った。
朝起きてすることは、自分の行動をメモすること。
記憶を上手く留めて置く事が出来なくなったクリスにとって、一日の行動を順序立てて考えることは容易ではない。
物忘れもひどく、すぐに眠くなる・・・大事なことは必ずメモをとる習慣を守っている。
昼は支援センターで授業を受け、夜は銀行の掃除係をしながら、1日また1日が過ぎていく。
そんな時、バーで知り合ったゲイリーという男にパーティに誘われるのだが・・・。

早い話、このゲイリーが銀行強盗グループのリーダー。
クリスを仲間に引き入れて、夜は彼がたった一人で番をしている銀行で手引きをさせて大金を頂いちゃおうって魂胆。
クリスに女の子を差し向けたり、酒を酌み交わして油断させ、いざ強盗の計画を打ち明けた時にはクリスの自尊心を傷付けることで彼を縛ります。
クリス自身は覚えていないのですが、ゲイリーはハイスクールの先輩だった。
事故を起こす前のクリスはスポーツ万能、ホッケーの花形選手でお金持ちのボンボン、誰からも憧れられる目立つ存在。
昔と今を比べそれらの全てを失ったしまった今のクリスをあざ笑い、焚き付けてグループに引き込むゲイリー。
見張り役を命じられいざ実行の時、ことは計画通り運ぶかに見えたのですが・・・。

これではいけないと必死でクリスが反旗を翻します。
ゲイリーに対抗する手立てを、頭の中で組み立ててメモに書きとめる。
そんなクリスの計画が効を奏するか、ハラハラさせられました。
でもクライムサスペンスの割には、全体的なトーンは静かな印象を受けます。
クリスの内面で起こっている葛藤に重点を置いて描いていたから、そう感じたのかな。
何をやっても上手くいかないもどかしさや焦燥感。
自分を赦せないし周りも自分を赦さないだろうという絶望感。
そういったクリスの内側を、ジョセフ君が繊細に演じていました、やっぱ彼は上手い。

クリスと同居しているルイスをはじめ、彼の周りには優しく見守る人たちが沢山いたんです。
事件を起こす前に気付いて欲しかった。
だって・・・ドーナツ警官が可哀想過ぎるんだもん・・・。
静かに、でも確実に新しい1歩を踏み出したクリスを応援しながら映画は終了しました。

THE LOOKOUT  (2007)
 監督 スコット・フランク
 ジョセフ・ゴードン=レヴィット ジェフ・ダニエルズ マシュー・グート
 ブルース・マッギル アイラ・フィッシャー カーラ・グキーノ
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悪人 [映画 *あ]


悪人(サントラ)
「悪人」、観ました。

殺人を犯してしまった男と、彼を愛し共に逃避行をする女を軸にして事件に関わった人々が味わう苦悩を描いた人間ドラマ。

先月カナダで開催されたモントリオール世界映画祭で、深津ちゃんが女優賞を受賞したことで話題となっていたのも記憶に新しいところ。
その時のインタビューで、映画に関わったすべての人の力があったからこそ受賞できた・・・という風な意味合いのことを話していたかと思います。
映画を観て、本当にその通りだと感じました。
深津さんの演技も素晴しかったと思うし、主演の妻夫木君、若手からベテランに至るすべての出演者の見事な演技に圧倒されました。
そんなキャストの熱演に加え、真に迫る作品世界を作り上げた監督はじめスタッフの努力の賜物が、あの受賞に繋がったのかな、と思える作品でした。

出会い系サイトで知り合った女性・佳乃を殺めてしまった祐一。
彼は長崎の海辺の町に住む若者。
叔父が営む解体業を手伝い、仕事が終われば親代わりの祖父母が住む家に帰る。
同じ事の繰り返しの毎日に、変化を与えるのが出会い系であり、そこで知り合った佳乃との関係だった。
しかし、祐一は不運な成り行きに抗うことができずに佳乃の命を奪ってしまう。
そんな時、祐一の携帯に1通のメールが届く。
佐賀に住む女性からで、祐一は彼女と会う約束をするのだった。

この佐賀の女性が深津ちゃん演じる光代。
彼女も変化のない毎日が積もりに積もり、自分のこれからに言いようの無い不安を抱えていた。
生真面目で純粋な光代が、祐一との出会いによって自分の人生を投げ打つような逃避行に身を置くことになっていくのです。
“出会い系で知り合った男の子だけど、これから本気でお付き合いできるのかな”、そんな風に考えていた彼女が彼から罪の告白をされる、それも殺人を犯したなんて聞かされたら普通は一緒に逃げようとはならないはず。
そこから2人の逃避行となっていく所に説得力を持たせるのって、結構大変なんじゃないかな。
けれども深津ちゃんと妻夫木君は、迫真の演技でそのハードルを越えていたと思う。
祐一と光代の中の孤独感が共鳴して、互いの存在が拠り所となっていく様を、静かにしかし熱く演じていました。
あの激しいベッドシーンも必要不可欠、の大事なシーンと言えます。

被害者である佳乃の父親を演じた柄本明の、もって行き場の無い憤怒が噴出しそうになる場面では、観ているこちらの胸もかきむしられる様でした。
振り上げたこぶしをぐっと堪えた父親の遣る瀬無さ、彼の心からの叫びに、号泣。
もしかしたら今、この劇場内で一番泣いてるの私じゃない?ってくらいだったんだよぅ^^;

祐一の祖母役の樹木希林も、流石の演技。
もう、台詞が無くても彼女の困惑とか、絶望とか、手に取るように分かる。
台詞が無い方が、ずっとずっと分かるんです。
役者さんの表現力の凄さを思い知らされました。

逃避行の末に2人が得たものとは何だったのか。
真っ当な光代と出会ったことで、罪の重さを知った祐一。
光代という大切な存在を得たことで、佳乃もまた誰かのかけがえの無い存在だったと思い知らされるのです。
最後に祐一がとった行動は、自分の為に未来を費やしてしまいそうな光代を自由にしてあげたい、と思ったからなのか。
また、光代が犯人を匿って一緒に逃げた共犯者になってしまわない様に、連れ回された被害者にした方が良いと思ったのか。
祐一の光代に対する愛情なんでしょうね、きっと。

それに対して、やっぱり祐一への思いを断ち切れないラストシーンの光代が切なかった。
光代が花を手向けに行った殺害現場のガードレールに、祐一の祖母のスカーフが巻き付けられていたのも、また切ない。
あの場に訪れた祖母はきっと、手を合わせながらずっと頭を下げて居たんだと思う。
そんな風に、多くを語らずとも情景が目に浮かんでくる演出も、心を揺さぶったのです。

悪人  (2010)
 監督 李相日
 妻夫木聡 深津絵里 岡田将生 満島ひかり 塩見省三
 池内万作 光石研 余貴美子 井川比佐志 松尾スズキ
 山田キヌヲ  韓英恵 中村絢香 永山絢斗 宮崎美子
 樹木希林 柄本明
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ナイト&デイ [映画 *な]


ナイト&デイ (キャメロン・ディアス、トム・クルーズ 出演) [DVD]
「ナイト&デイ」、観ました。

スパイの男と知り合ったことからとんでもない騒動に巻き込まれる女性。
世界を舞台に大暴れするカップルをコミカルに描いたアクション。
主演はトム・クルーズとキャメロン・ディアス。

トム・クルーズが十八番とも言えるスパイに扮した本作。
ですが今回は今まで彼が演じてきた生粋のスパイアクションに、思わずニヤ~とする“笑い”というスパイスをブレンドしたコミカルアクションとなっていました。
トム演じるスパイのロイはめちゃくちゃ有能で、どんなピンチも超人的な技で切り抜けてしまいます・・・強い、強すぎる。
その凄腕ぶりが微妙に鼻に付く一歩手前、って感じがよろしかった。
これは自身が演じてきたスパイのセルフパロディか?とある意味小気味いい。
“通常通りのトム・クルーズ”を期待して観に行った方は、もしかしたら肩透かしを食らった気分になるかもしれないですが、私は今回のこの塩梅、好みでしたね~^^トムがやるから生きてくる!

とある事情で各方面から追われているロイと関わってしまった事で、彼と怒涛のような追跡劇に巻き込まれてしまうのがキャメロン・ディアス演じるジューン。
同じ女性として、自分も言われたくないことを言うのは気が引けるのですが、彼女も歳をとったな~。
それでも、持ち前の元気印なキャラは健在。
クリームイエローのドレスにエンジニアブーツという究極のミスマッチファッション、そこに斜めがけバッグで逃げ惑う姿がとっても可愛くて個人的にはツボでした。
巻き込まれて危機を切り抜けるうちに、段々とロイに感化されて行き終いには・・・っていうのも彼女らしい。

トムにしてもキャメロンにしても、戦う姿はさほど珍しくないけれど、今回は妙に力の抜ける笑いが散りばめられていてそこが面白かった。
その最たるものが“眠り薬”で、事あるごとにムニャムニャ~となって場面が変わるのには脱力でした^^
こうやって書いてると肝心のアクションはどうなの?と思われるかもしれませんが、安心あれ。
数々あるアクションシーンは迫力モノで手抜きなくしっかりと作られていました。
アクションやる所はキチンとやってるので、楽しめたんです。

監督は「アイデンティティー」「3時10分、決断のとき」のジェームズ・マンゴールド。
どっちの作品もお気に入りなので本作も期待していたのです。
ぶっちゃけ新鮮味に欠ける主演2人に、妙味な味付けを施していたと思う~、期待は裏切られず。でした^^

KNIGHT&DAY  (2010)
 監督 ジェームズ・マンゴールド
 トム・クルーズ キャメロン・ディアス ピーター・サースガード
 ヴィオラ・デイヴィス ポール・ダノ ジョルディ・モリャ フォーク・ヘンチェル
 マギー・グレイス デイル・ダイ マーク・ブルカス レニー・ロフティン セリア・ウィェストン
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ウディ・アレンの夢と犯罪 [映画 *あ]


ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD]
「ウディ・アレンの夢と犯罪」、観ました。

金のために犯罪に手を染めたことで、破滅への道をたどる兄弟の姿を描いたサスペンス。
ウディ・アレン監督作品。

実家の稼業であるレストラン経営を手伝いながらも、ビジネスの世界での成功を夢に見る兄のイアン。
彼は理想の恋人・アンジェラと出会った事で、予てから計画していた投資事業を本格的に始めようとする。
一方、気が優しい弟のテリーは自動車修理工として働きながら恋人と家庭を築くことを考えていた。
テリーは酒とギャンブルが大好きで、ドッグレースで大勝した大金を注ぎ込み兄と共に中古のヨットを手に入れる。
“カサンドラズ・ドリーム号”と名付けられたヨットは兄弟の夢の実現への第一歩に思えたのだが・・・。

テリーがポーカーで大変な借金を抱えてしまったことから、兄弟に暗雲が立ち込め始めます。
この窮地を乗り切るために、2人はアメリカで成功を収めた伯父に助けを求める。
イアンは投資の元手となる資金の無心、テリーは借金返済のための無心。
2人の申し出を受ける代わりに、伯父からも交換条件を出される、それは伯父のビジネスの邪魔になる男を消して欲しい・・・というトンでもないものだった。

物語は始まった時から破滅への階段を一歩一歩下りて行くように、不安な気持ちを煽る。
伯父からの申し出に葛藤しながらも、どうしてもお金が必要な兄弟は犯罪の実行を決めるのです。
特に兄のイアンは成功への執着が強く、恋人に対する虚栄心もあってどうしてもお金が欲しい。
弟のテリーは気弱な面があって、兄よりもずっと振り幅の大きな葛藤に揺れるのですが、やはり借金からは逃れられないと腹を据えるのです。

ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが兄弟を演じています。
兄を演じたユアンはちょっとええカッコしいの野心家を上手く表現していました。
弟のコリン・ファレルが今回はすごく良かった。
コリンってイケメンの役よりも、こういう少し三の線の入った方が似合うんだ。
あの下がりまゆ毛を一層下げて、ビクビクと怯える姿が今までのコリンと違っていて新鮮でした。
真面目で気の優しい市井の人もいけるんですね、意外な魅力の発見って感じ^^

「マッチポイント」、「タロットカード殺人事件」に続くウディ・アレンのロンドン3部作の最終章、という位置づけらしい。
とは言っても、それぞれに独立した物語です。
どの作品も歴史あるロンドンの街並みと、郊外ののどかな田園風景が楽しめる。
物語の醸し出すシリアスな雰囲気は「マッチポイント」に共通するのかも。
兄弟の行き着く先に希望は無い、とそれは予想が付くので、一体どんな悲劇的で皮肉なラストへと導かれるのか?が非常に気になった。
ヨットつながりでそれこそ「太陽がいっぱい」級の締めくくりを期待していたのですが、思ったよりかはあっさりとしていた。
それでも、皮肉なことに変わりは無いが・・・。

ウディ・アレン監督らしい小気味良い台詞の応酬、画的にもセンスが散りばめられていて、いつも楽しめます^^

CASSANDRA’S DREAM  (2007)
 監督 ウディ・アレン
 ユアン・マクレガー コリン・ファレル トム・ウィルキンソン
 ヘイリー・アトウェル サリー・ホーキンス フィル・デイヴィス
 ジョン・ベンフィールド クレア・ビギンズ
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