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英国王のスピーチ [映画 *あ]


英国王のスピーチ (コリン・ファース 主演) [DVD]
「英国王のスピーチ」、観ました。

吃音に悩む英国王ジョージ6世が、自身の努力と周囲の助けを駆りながら吃音症を克服していく姿を描いた実話を元にしたドラマ。

おめでとうございます!
本日行われたアカデミー賞で、見事「作品賞」、「監督賞」、「主演男優賞」、「脚本賞」の4部門を受賞しました。
26日の土曜日から公開され、私は昨日の日曜日に観に行ってきたのですが、やっぱりお客さんは沢山でした。
事実上、作品賞は本作と「ソーシャル・ネットワーク」との一騎打ちのように言われていましたが、蓋を開けてみると、こういう結果になりましたね。
今だからそう思うのかもしれませんが、何となく納得の結果だった気がします^^
結果を知って一番に思ったのが、「やっぱりそうなったか~」でしたから。
(でもやっぱり、個人的に好きなのは「インセプション」なんだけど^^)

現エリザベス女王の父親であるジョージ6世が、王位を継承する以前のヨーク公だった時に出会ったのが、言語聴覚士ライオネル・ローグ。
王族である事から人前でスピーチする機会の多いヨーク公は、吃音で悩み何人もの医師にかかったが症状は良くなる兆しをみせなかった。
そんな時、妻であるエリザベス妃が見つけたのが言語聴覚士ライオネル。
相手が王族であろうと対等な立場で接するライオネルの矯正法は、今までのそれとは全く違った風変わりなものに見えました。
初めは警戒していたヨーク公でしたが、あれほど治らなかった彼の吃音が快方の兆しを見せ始めるにつれ、ライオネルへの信頼が深まっていくのだった。

思慮深く控えめな雰囲気のジョージ6世が、実は短気なかんしゃく持ちだったり、粋なジョークが好きだったりと、とても人間的で好感が持てました。
立場上、抑制しなければならない事も多く、その気苦労は私たちが想像できる範囲を超えているのではないか、と思います。
そんな抑圧された心を解き放つように、ライオネルはヨーク公の口から様々の言葉を引き出そうとします。
“思いっきり言ってしまえ~”と背中を押されて卑猥な言葉を連発するヨーク公には、思わず噴出してしまいました^^

ライオネルはヨーク公の吃音の原因を探ろうと、彼の過去に遡る事を試みます。
そこで明らかになるのは幼少の頃から、様々な抑圧を受けて育ってきた事実でした。
過去のトラウマが及ぼす力の大きさ、幼いヨーク公の心は周りの人たちに傷付けられてしまっていたのです。
ライオネルは真摯に向かい合う事で、ヨーク公との間に信頼関係を築いていきます。
人から受けた心の傷を、人との信頼で癒していく、とでも言うかのように・・・。

主演男優賞を受賞したコリン・ファースの演技もさることながら、ライオネルを演じたジェフリー・ラッシュも素晴しかった。
彼の助演があってこそ、という部分も大きいような気がします。
ヨーク公がやがて英国国王を継承し、ジョージ6世となってからもライオネルは王を支え続けたそうです。
そしてもう一人、忘れてならないのがヘレナ・ボナム=カーターが演じたエリザベス妃。
王族としての品位を保ちながら、精一杯の友情を表す姿が素敵でした。
夫を愛する妻の顔も可愛かったです^^

ともあれ、おめでとうございます。
これから公開されるその他受賞作も、楽しみです~。

THE KING’S SPEECH  (2010)
 監督 トム・フーパー
 コリン・ファレル ジェフリー・ラッシュ ヘレナ・ボナム=カーター
 ガイ・ピアース ティモシー・スポール デレク・ジャコビ マイケル・ガンボン
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アンストッパブル [映画 *あ]

アンストッパブル「アンストッパブル」、観ました。

無人のまま走り出した39両編成の貨物列車を止めるために奮闘する2人の鉄道マンの姿を描いたパニックアクション。
実際に発生した列車事故をもとにした映画である。

機関士も乗っていない、自動ブレーキ制御も利かない状態の貨物列車。
しかも貨物は有害物質を含む薬品、大量の燃料まで搭載している、そんな列車が徐々にスピードを上げながら住宅密集地へと近づいていく。
そこには急カーブが待ち構えていて、脱線すれば住民を巻き込んでの大惨事を免れない。
その手前で暴走列車を止めようと危険を承知で行動に出るのが、偶然にも暴走列車のすぐ近くを運行していた2人の鉄道マン。
ベテラン機関士と新米車掌の命がけの挑戦に手に汗握る、まさにノンストップ・アクションムービー!

轟音を立てて走りすぎる列車は、停止を試みる鉄道会社の作戦を蹴散らし、まったく言うことを聞きません。
事故の知らせを受けた警察、非難する住民たち、TV局は生中継でこの様子を放送し、事態を見守る野次馬・・・と沿線では慌しい騒動が起こる。
そもそもの事故が起こる切欠から始まり、事の大きさに周囲が慌てふためく一連の流れを、シーンを上手く切り替えながら見せていきます。
テンポもよくスピード感があるので、事故の緊迫した雰囲気を非常に感じる事が出来る作りでした。 

列車停止に挑む2人が乗った機関車内でも、物語が進むのにつれて変化を見せる人間ドラマが描かれていました。
ベテラン機関士にはデンゼル・ワシントン。
新米車掌はクリス・パイン。
互いの立場から最初は険悪なムードが漂う2人ですが、危機に直面した事でそれがどうなっていくのか、ここも見どころで2人の演技も息が合っていたように思う。
主人公が抱える問題を差し込むことで、キャラクターにも個性が吹き込まれていました。
それにしても、やっぱりデンゼル・ワシントンは上手いですね~。
台詞の一つ一つがベテラン機関士そのもので、説得力がある、そしてカッコいい。
最近のトニー・スコット&デンゼル作品の中では、本作が一番良かった!

クリス・パインもアクション頑張っていました。
どう見ても生身でアクションしているように見えたのですが。
連結部分でのアクションなど、どうやって撮ったのでしょうか?
他にも疾走する車のシーンやヘリコプターなどハラハラさせる場面が満載。
そして全てをなぎ倒していく列車はド迫力、あの列車こそもう一人(?)の主役なのだと思いました。

それにしても事故の切欠が・・・。
どうぞくれぐれも、万全の安全管理でお願いします。

UNSTOPPABLE  (2010)
 監督 トニー・スコット
 デンゼル・ワシントン クリス・パイン ロザリオ・ドーソン
 イーサン・サプリー ケヴィン・ダン ケヴィン・コリガン
 ケヴィン・チャップマン リュー・テンプル T・J・ミラー

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運命のボタン [映画 *あ]


運命のボタン [DVD]
「運命のボタン」、観ました。

ボタンを押せば大金は貴方のもの。
ただし、その代償としてどこかで誰かが死んでしまいます。
さあ、貴方はこのボタンを押しますか?

ある朝、自宅の玄関にポツンと置かれた箱。
開けてみると中にはボタン装置が。
そして夕方、訪れた見知らぬ老紳士がこのボタンを押すとどうなるのか説明を始めます。
上に書いた事が絶対に、現実のものになると言うのです。
大金とは100万ドル(およそ1億円らしい)。
考える猶予は24時間、それを過ぎると次の方にこの権利は移ってしまいます。
ご夫婦でよく相談されて、決めてください。
怪しいでしょう~、そんな事言われたら困る~、はっきり言って迷惑でしかない^^;
この提案を受けたのが、キャメロン・ディアス&ジェームズ・マースデン(サイクロップス・X-MEN)夫婦。
夫婦が下した決断によって、彼らがどんな運命を辿るのか?
なかなか興味深く鑑賞することが出来ました。

それにしてもキャメロン演じる妻が、何だかんだ言いながら速攻でボタンを押したのには目がテン!
(ボタン押しちゃうのは予想出来ますよね、だからネタバレじゃ無いよね^^;)
私が旦那だったら“勝手なことしてっ!”ってかなり怒ると思う、ジェームズ演じる夫は優しい~。
そもそもこの夫婦はお互いをとても思い遣る事が出来るいい夫婦だと思う。
それ程、金銭面に苦労しているようにも見えない(逆に裕福にさえ見える)のに、キャメロンがあそこまでお金に執着するのが、ちと分からなかったかも。
確かに、夫婦を取り巻く状況が芳しくない風向きに変わったってのはあるとは思うけど、でもねぇ^^;
抗いようのない力が働いていたんでしょうか。

大金を手にした喜びもつかの間、夫婦の周りに不穏な出来事が起こり始めます。
(そもそもお金貰って嬉しいどころか、気分は沈んで行く様に思える。)
このボタンに纏わる一連の出来事がどのような意味を持つのか、またこの提案をしてきた老紳士の正体は何なのか。
その辺が見え始めると、一気に冷めてしまう人が多いかもしれませんね~。
あ、これ系か・・・って。でも何となく始めからオチは見えてるっちゃぁ、見えてるし。
私はあれ系でも全然良いんですけど、如何せん長く感じた。
図書館のシーンとか意味深過ぎてよく分からず、単調に思えたり。
前半は雰囲気もあって面白かったけど、出来たら100分位で纏めて欲しかったなぁ(この尺が好きだよね、私^^;)

幾ら見知らぬ誰かだとは言え、人様の死のきっかけを作ってしまうと思ったら、ボタンは押せない。
絶対に、自分にかえって来ると思う。
因果応報。
ジェームズ夫が最後まで優しくて、切なくはあった。

謎の老紳士役のフランク・ランジェラの怪しさが◎。

THE BOX  (2009)
 監督 リチャード・ケリー
 キャメロン・ディアス ジェームズ・マースデン フランク・ランジェラ
 ジェームズ・レブホーン ホームズ・オズボーン ジリアン・ジェイコブス
 セリア・ウェストン デボラ・ラッシュ
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黄金 [映画 *あ]


世界名作映画全集72 黄金 [DVD]
「黄金」、観ました。

一攫千金を夢に見て、金鉱を探すべく山の奥深くへと入った男達の波乱に満ちた道中を描く。
1948年の作品、監督はジョン・ヒューストン。

1920年代のメキシコ。
アメリカからの出稼ぎ労働者(かな?)のドブズは職にあぶれ、その日暮しの毎日を送っていた。
同じ境遇のカーティンと共に入った安宿で、年老いた山師のハワードと出会う。
メキシコの山奥深いところでは、黄金の眠る鉱脈が沢山あり一攫千金も夢ではないと言うハワード。
その話に乗ったドブズとカーティンは所持金すべてつぎ込み、ハワードと共に山へ旅立つのだった。

持ちつけない大金を目の前にしたばっかりに、欲に囚われてしまい大切なモノが見えなくなってしまう・・・。
そんな悲しい人間の性を浮き彫りにしたストーリーでした。
黄金に魅入られ、次第に猜疑心の塊となっていくドブズを演じるのはハンフリー・ボガード。
ボガードと言えば「カサブランカ」(その昔、鑑賞。ほとんど覚えていない^^;)、「麗しのサブリナ」ぐらいしか観たことがないので、印象と言えば「麗しのサブリナ」の紳士的なイメージしか持ってなかった。
が、本作で演じたドブズの金に対する執着心、また獲物を離すまいとギラギラ目を光らせるところなど、段々と嫌な男になっていく様はその紳士のイメージを思いっきり覆えすものでした!
流石は役者さん、変幻自在ですね~。

それにしても古い映画なんですが、どうしてこうも面白いのでしょうか?
私はいつも最初に“うわっ、古っ!”って突っ込んでしまう(笑)
ド派手な今時の映画に慣れきったためか、古い映画って若干の拒絶反応みたいなものを感じてしまう(私だけ?^^)
それでも、モノの何分もしない内に知らず知らず引き込まれてしまってるんですよね、それが不思議。
アクションシーンなんかも今の作品とは比べ物にならない位、のんびりしてるのに。
そういう所に変に力を入れすぎてない分、ストーリーで勝負しようとしているからなんでしょうかね。
マッタリし過ぎてる所が無きにしも非ず、なんだけどそれさえも良しと思えるし^^

個性があって魅力的なキャラクターも欠かせません、本作では山師のハワードがそうです。
人生の酸いも甘いも噛み分け、浮き沈みを経験してきた彼の人情味溢れる笑顔がいい。
年の功でドブズとカーティンに含蓄のある言葉を垂れるのですが、要はそれに聞く耳を持てるか持てないか。
そして、何事も前向きに考えることができるかどうか。
苦労が水の泡に帰したとしても、“命あっての物種”とばかりに笑い飛ばせる度量。
あの器のデカさこそ、人生を幸せに変えていける秘訣ではないか、とハワードを見て思った次第。

THE TREASURE OF THE SIERRA MADRE  (1948)
 監督 ジョン・ヒューストン
 ハンフリー・ボガード ウォルター・ヒューストン ティム・ホルト 
 ブルース・ベネット バートン・マクレーン アルフォンソ・ベドヤ
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悪人 [映画 *あ]


悪人(サントラ)
「悪人」、観ました。

殺人を犯してしまった男と、彼を愛し共に逃避行をする女を軸にして事件に関わった人々が味わう苦悩を描いた人間ドラマ。

先月カナダで開催されたモントリオール世界映画祭で、深津ちゃんが女優賞を受賞したことで話題となっていたのも記憶に新しいところ。
その時のインタビューで、映画に関わったすべての人の力があったからこそ受賞できた・・・という風な意味合いのことを話していたかと思います。
映画を観て、本当にその通りだと感じました。
深津さんの演技も素晴しかったと思うし、主演の妻夫木君、若手からベテランに至るすべての出演者の見事な演技に圧倒されました。
そんなキャストの熱演に加え、真に迫る作品世界を作り上げた監督はじめスタッフの努力の賜物が、あの受賞に繋がったのかな、と思える作品でした。

出会い系サイトで知り合った女性・佳乃を殺めてしまった祐一。
彼は長崎の海辺の町に住む若者。
叔父が営む解体業を手伝い、仕事が終われば親代わりの祖父母が住む家に帰る。
同じ事の繰り返しの毎日に、変化を与えるのが出会い系であり、そこで知り合った佳乃との関係だった。
しかし、祐一は不運な成り行きに抗うことができずに佳乃の命を奪ってしまう。
そんな時、祐一の携帯に1通のメールが届く。
佐賀に住む女性からで、祐一は彼女と会う約束をするのだった。

この佐賀の女性が深津ちゃん演じる光代。
彼女も変化のない毎日が積もりに積もり、自分のこれからに言いようの無い不安を抱えていた。
生真面目で純粋な光代が、祐一との出会いによって自分の人生を投げ打つような逃避行に身を置くことになっていくのです。
“出会い系で知り合った男の子だけど、これから本気でお付き合いできるのかな”、そんな風に考えていた彼女が彼から罪の告白をされる、それも殺人を犯したなんて聞かされたら普通は一緒に逃げようとはならないはず。
そこから2人の逃避行となっていく所に説得力を持たせるのって、結構大変なんじゃないかな。
けれども深津ちゃんと妻夫木君は、迫真の演技でそのハードルを越えていたと思う。
祐一と光代の中の孤独感が共鳴して、互いの存在が拠り所となっていく様を、静かにしかし熱く演じていました。
あの激しいベッドシーンも必要不可欠、の大事なシーンと言えます。

被害者である佳乃の父親を演じた柄本明の、もって行き場の無い憤怒が噴出しそうになる場面では、観ているこちらの胸もかきむしられる様でした。
振り上げたこぶしをぐっと堪えた父親の遣る瀬無さ、彼の心からの叫びに、号泣。
もしかしたら今、この劇場内で一番泣いてるの私じゃない?ってくらいだったんだよぅ^^;

祐一の祖母役の樹木希林も、流石の演技。
もう、台詞が無くても彼女の困惑とか、絶望とか、手に取るように分かる。
台詞が無い方が、ずっとずっと分かるんです。
役者さんの表現力の凄さを思い知らされました。

逃避行の末に2人が得たものとは何だったのか。
真っ当な光代と出会ったことで、罪の重さを知った祐一。
光代という大切な存在を得たことで、佳乃もまた誰かのかけがえの無い存在だったと思い知らされるのです。
最後に祐一がとった行動は、自分の為に未来を費やしてしまいそうな光代を自由にしてあげたい、と思ったからなのか。
また、光代が犯人を匿って一緒に逃げた共犯者になってしまわない様に、連れ回された被害者にした方が良いと思ったのか。
祐一の光代に対する愛情なんでしょうね、きっと。

それに対して、やっぱり祐一への思いを断ち切れないラストシーンの光代が切なかった。
光代が花を手向けに行った殺害現場のガードレールに、祐一の祖母のスカーフが巻き付けられていたのも、また切ない。
あの場に訪れた祖母はきっと、手を合わせながらずっと頭を下げて居たんだと思う。
そんな風に、多くを語らずとも情景が目に浮かんでくる演出も、心を揺さぶったのです。

悪人  (2010)
 監督 李相日
 妻夫木聡 深津絵里 岡田将生 満島ひかり 塩見省三
 池内万作 光石研 余貴美子 井川比佐志 松尾スズキ
 山田キヌヲ  韓英恵 中村絢香 永山絢斗 宮崎美子
 樹木希林 柄本明
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ウディ・アレンの夢と犯罪 [映画 *あ]


ウディ・アレンの夢と犯罪 [DVD]
「ウディ・アレンの夢と犯罪」、観ました。

金のために犯罪に手を染めたことで、破滅への道をたどる兄弟の姿を描いたサスペンス。
ウディ・アレン監督作品。

実家の稼業であるレストラン経営を手伝いながらも、ビジネスの世界での成功を夢に見る兄のイアン。
彼は理想の恋人・アンジェラと出会った事で、予てから計画していた投資事業を本格的に始めようとする。
一方、気が優しい弟のテリーは自動車修理工として働きながら恋人と家庭を築くことを考えていた。
テリーは酒とギャンブルが大好きで、ドッグレースで大勝した大金を注ぎ込み兄と共に中古のヨットを手に入れる。
“カサンドラズ・ドリーム号”と名付けられたヨットは兄弟の夢の実現への第一歩に思えたのだが・・・。

テリーがポーカーで大変な借金を抱えてしまったことから、兄弟に暗雲が立ち込め始めます。
この窮地を乗り切るために、2人はアメリカで成功を収めた伯父に助けを求める。
イアンは投資の元手となる資金の無心、テリーは借金返済のための無心。
2人の申し出を受ける代わりに、伯父からも交換条件を出される、それは伯父のビジネスの邪魔になる男を消して欲しい・・・というトンでもないものだった。

物語は始まった時から破滅への階段を一歩一歩下りて行くように、不安な気持ちを煽る。
伯父からの申し出に葛藤しながらも、どうしてもお金が必要な兄弟は犯罪の実行を決めるのです。
特に兄のイアンは成功への執着が強く、恋人に対する虚栄心もあってどうしてもお金が欲しい。
弟のテリーは気弱な面があって、兄よりもずっと振り幅の大きな葛藤に揺れるのですが、やはり借金からは逃れられないと腹を据えるのです。

ユアン・マクレガーとコリン・ファレルが兄弟を演じています。
兄を演じたユアンはちょっとええカッコしいの野心家を上手く表現していました。
弟のコリン・ファレルが今回はすごく良かった。
コリンってイケメンの役よりも、こういう少し三の線の入った方が似合うんだ。
あの下がりまゆ毛を一層下げて、ビクビクと怯える姿が今までのコリンと違っていて新鮮でした。
真面目で気の優しい市井の人もいけるんですね、意外な魅力の発見って感じ^^

「マッチポイント」、「タロットカード殺人事件」に続くウディ・アレンのロンドン3部作の最終章、という位置づけらしい。
とは言っても、それぞれに独立した物語です。
どの作品も歴史あるロンドンの街並みと、郊外ののどかな田園風景が楽しめる。
物語の醸し出すシリアスな雰囲気は「マッチポイント」に共通するのかも。
兄弟の行き着く先に希望は無い、とそれは予想が付くので、一体どんな悲劇的で皮肉なラストへと導かれるのか?が非常に気になった。
ヨットつながりでそれこそ「太陽がいっぱい」級の締めくくりを期待していたのですが、思ったよりかはあっさりとしていた。
それでも、皮肉なことに変わりは無いが・・・。

ウディ・アレン監督らしい小気味良い台詞の応酬、画的にもセンスが散りばめられていて、いつも楽しめます^^

CASSANDRA’S DREAM  (2007)
 監督 ウディ・アレン
 ユアン・マクレガー コリン・ファレル トム・ウィルキンソン
 ヘイリー・アトウェル サリー・ホーキンス フィル・デイヴィス
 ジョン・ベンフィールド クレア・ビギンズ
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アーマード 武装地帯 [映画 *あ]


アーマード 武装地帯 コレクターズ・エディション [DVD]
「アーマード 武装地帯」、観ました。

装甲現金輸送車の警備員達が、輸送金である4200万ドルを狂言強盗により強奪しようと目論む犯罪アクション。

警備員のタイは普段から世話になっている先輩のマイクに、とある計画に誘われる。
それは彼らが輸送を任された4200万ドルの現金を、強盗に襲われたという嘘をでっち上げて奪うというもの。
メンバーは警備員仲間の6人で、強奪した金は6人で山分け。
一切の犠牲者も出さない、完璧な計画だと話すマイクの言葉を信じて仲間に加わったタイだったが、ことが上手く運ぶはずは無く・・・。

はっきり言って、“計画、甘あまなんちゃうん~^^;”とツッコミ入れまくりです。
ひとつ予想外の出来事が起こってしまうと、パニくってしまって次々にヘマをやらかしてしまう犯人グループ。
完璧な計画どころか、穴だらけ。
しかし最初の計算違いで引き返すことが出来ず、目の前の大金に狂ったように執着する彼ら。

そんな時、仲間の中から行動を異にするものが出てくる。
それがタイ。
タイは当初の計画から大きく道を外す仲間に耐え切れず、狂言強盗の計画から下りようとする。
まだ現金が詰まれたままの輸送車に立てこもり、仲間の追跡を振りほどこうとするのだったが・・・。

上にも書いたようにツッコミどころ満載のアクション、って感じでしたが実は面白かったです。
出だしの所でタイとマイクの関係とか、タイが抱えている家庭の事情なんかをチョコっと描いているんですが、そこなんかも中々渋くていい感じなんですね。
事件が起こってからはテンポもいいし、けっこうハラハラとさせられましたし。
ツッコミというのも決して批判的なものじゃなくて、愛すべきツッコミなんですよね^^
小粒な尺なもんで、休みの朝からゴソゴソと観始めて、終わってもまだ10時来てなかったです、観易いっ!イイネ!

出演者も結構、豪華ですよ。
タイ役の役者さんはあんまり知らない人でしたが、妙に応援したくなってしまうような愛嬌のある顔した黒人さん。
あと、マイク役はマット・ディロン。
残りの4人の犯人もジャン・レノ、ローレンス・フィッシュバーン、「プリズンブレイク」のスクレに、あともう1人は残念ながら知らない人でしたが、いい顔ぶれですよね。
ローレンス・フィッシュバーンは「プレデターズ」に続いてアブないキレキャラで、どうもこれがお家芸になりそうな気配を感じました(笑)

記事を書くときに調べたら、「モーテル」や「プレデターズ」と同じ監督さんだったんですね。
どれも世間的評価はあまり高くないみたいだけど。
わたし的には、何気にどれも楽しめたりしたのですが~^^

ARMORED  (2009)
 監督 ニムロッド・アーントル
 マット・ディロン コロンバス・ショート ジャン・レノ
 ローレンス・フィッシュバーン アマウリー・ノラスコ
 スキート・ウールリッチ マイロ・ヴァンティミリア フレッド・ウォード
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インソムニア [映画 *あ]


インソムニア [DVD]
「インソムニア」、観ました。

白夜のアラスカで17歳の少女の変死体が発見される。
ロス市警から派遣されたドーマーと相棒のハップは地元警察と共に捜査に当たる。
そんな中、ドーマーの仕掛けた罠に犯人がおびき出されるのだが・・・。
「インセプション」「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督が1997年制作のノルウェー版をリメイクした作品。

アラスカの大自然に囲まれた田舎町、というと思い出すのが「あなたは私の婿になる」
サンドラ・ブロック主演のラブコメで、ライアン・レイノルズ演じる相手役の実家があるアラスカで繰り広げられるあれこれを面白可笑しく描いた映画でした。
その時、空気がおいしそうで自然の溢れるアラスカがとっても素敵に見えたものです。
ところが本作で登場するアラスカは、自然の美しさこそ変わらないものの、映画全編を包む重苦しい空気のせいで、全然違う雰囲気に感じられました。

アル・パチーノ演じるドーマー刑事はベテラン中のベテランで、今まで数々の事件を解決してきた叩き上げのデカ。
正義を貫くためには、多少強引なやり方であったとしてもやむを得ず、と言うのが彼の方針。
そのため捜査方法も危ない橋を渡ることが多く、ロスでは内務監察部に目を付けられ調査を受けている立場だった。
派遣先のアラスカでも、手がかりの掴めない犯人をおびき出すために罠を仕掛けたドーマー。
まんまと作戦に嵌った犯人を追跡する中で、ドーマーは誤って相棒のハップを射殺してしまうのです。
深い霧に覆われた現場に目撃者はおらず、とっさにドーマーはハップを撃ったのは犯人だと証言してしまう。
ところが数日後、ドーマーの元に“すべてを見ていた”と言う犯人からの電話が入る。

罪の意識に苛まれながら、徐々に自分を見失っていく男。
白夜はそんな男を許すものかと言わんばかりに、彼から睡眠を奪っていく。
不眠症で朦朧とする中、今度は犯人が彼に接触してくる。
道を外れていくドーマーは果たして自分の罪にどう決着をつけるのか。

クリストファー・ノーラン監督だから、と多大な期待を寄せると肩透かしをくらいそうな気もしなくも無い。
全体的に淡々としている印象も受ける。
でも作品を包む閉塞感がじっとり~と纏わり付いて来ます。
ドーマーが霧の中で犯人を追うシーンなんて、息が詰まりそうだった。
暗闇が人を狂わす・・・って今までもあったと思うけど、日の光が人をおかしくさせて行く・・・てところが効いていた。
白日の下で心落ち着かず、夜に紛れて深く眠りにつく事も許されぬドーマーの罪悪感は募る一方だったはず。
アル・パチーノが徐々に壊れていく男を、対してロビン・ウィリアムズが一見普通だけどどこか壊れている男を熱演していました。

INSOMNIA  (2002)
 監督 クリストファー・ノーラン
 アル・パチーノ ロビン・ウィリアムズ ヒラリー・スワンク
 モーラ・ティアニー マーティン・ドノヴァン
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インセプション <2回目> [映画 *あ]

インセプション「インセプション」、観ました。

1回目を観た後すぐ、“もう一回観たいな~”と思っていました。(1回目の感想
あの幾重にも折り重なった夢の世界にまた訪れたい、と^^
8月1日は日曜日の“映画の日”だったので、丁度いいや!と思い行ってきました。
相変わらず映画館は混みこみ・・・、「インセプション」もお客さん入っていました。
本心を言うと、空いた映画館の周りにだ~れも居ない席で、気兼ねなく映画にひたるの方が好きなんですが。
でも、お気に入りの映画が好調な様子だと、なんだか嬉しくなるものですね^^

今回も面白く鑑賞することができました。
2回目だからこそ気付く事が何気ない台詞の中にあったり、現実世界で起こっている状況がなんと上手い具合に夢の世界とリンクしてるのか、と感心したりとにかく楽しめました。
私は気に入った映画は時間を置いて、何回でも観たいと思うほうなので、またこの映画はDVDとかで観ることになると思う。
その時、また発見があったりするのかもしれないですね^^

この前はジョセフ・ゴードン=レヴィットに目を奪われていたのですが(笑)、今回はエレン・ペイジのうまさに感心しました。
彼女、自然な演技が本当に上手!
エレン・ペイジが演じるのはディカプリオ演じるコブに誘われ仲間となる、優秀な大学生・アリアドネ。
夢の世界に入り込むときには、その世界を構築することが必要な訳で、その設計を任せられるという役どころ。
コブに連れられ夢の中へと入ったアリアドネは、自分の思い通りに作り上げることができる迷路のように奥深い夢の世界に魅せられていきます。
この世界の事について何も知らないアリアドネの疑問は、観客の疑問とも言えるのですね、彼女の質問に対するコブの答えはそのまま観客への答えにもなっている、彼女を使って上手く状況説明していました。

この仕事では新参者のアリアドネ。
他のメンバーが触れる事を避けうやむやにしている、コブの隠された領域へも臆せずズンズン入って行きます。
夢の世界に漬かりきった男が抱える苦悩と、後悔にまみれた過去に、好奇心と哀れみを感じているようですが、その奥にコブに対するほのかな愛情が生まれつつあるようにも見えました。
アリアドネのコブへの接し方が、最後には母性も感じられるように思えて、若いのに器の大きい女性だな、と。
演じているエレン・ペイジがほんと良いんだな。

そして最後のコマはですね~、今回は止まるんじゃないかな?って気がしました。
(・・・てか、止まって欲しいっていう願望が強くなったのかもしれない。)
前は絶対止まらないんだろうな、と思ってたんだけど^^

INSEPTION  (2010)
 監督 クリストファー・ノーラン
 レオナルド・ディカプリオ ジョセフ・ゴードン=レヴィット 渡辺謙 
 マリオン・コティヤール エレン・ペイジ トム・ハーディ
 トム・べレンジャー キリアン・マーフィ マイケル・ケイン
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インセプション [映画 *あ]


インセプション
「インセプション」、観ました。

人の夢に入り込んで頭の中のアイデアを盗む・・・そんな企業スパイたちが危険に身を晒しながら、暗躍する姿を描いたサスペンスアクション。
「ダークナイト」のクリストファー・ノーラン監督、オリジナル脚本による最新作。

予告編などで見かけた、あの街が折り重なってくるような映像はかなりそそられました^^
レオナルド・ディカプリオ主演に渡辺謙さんが共演となると、それだけで注目度も高い作品だと思います。
3連休に先行上映と言うことで、お客さんも結構入ってましたね~。
決して娯楽大作っていうノリではなくて、クリストファー・ノーラン監督らしい重厚さを備えたビターで骨太な作品。
映像表現にも作品世界にも、妥協せずに監督のスタイルを貫いた、という印象を持ちました。
故に最初のうちは若干、とっつきにくさを感じなくもなかったけれど、ストーリーが進行するうちにまったく気にならなくなりました^^

夢の中、という一見いつもと同じに見えるけれども、違う顔を持った世界が舞台、そしてその中に入り込むスペシャリスト達を描いています。
人の頭の中にあるアイデア、これだと普通は盗みようが無い、どうやっても手の出せない領域にある代物ですが、ここではそれに手が届く特殊な訓練を受けたスパイがいる、と言うことなんですね。
ディカプリオ演じるコブはこの道では腕利きらしい。
相棒のアーサー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)と組んで仕事をしているのですが、企業家であるサイトー(謙さん)からあるミッションを受ける。
それが“インセプション”と呼ばれる、プロの間でも実現不可能とされている仕事なのです。
この難題にコブ率いる選抜チームが挑む・・・と言うのが大筋です。

夢に夢が重なる多重構造になっていて、何となく複雑な印象は受けるのですが、あんまり難しく考えずに目に入ってくるものを楽しむ、という感じで観ていました。
ラストに掛けての各方面で繰り広げられる攻防なんか、とても面白かったです。
私が特に声援を送ったのがジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるアーサーの空中遊泳シーンですな^^
(彼は「恋のからさわぎ」で可愛い男の子だったのに、なんと素敵になられた事でしょう!何気に目がハートでしたわい・笑)

それでもってここに、コブ自身が抱える問題が影を落としてくるという訳です。
ディカプリオは苦悩する役柄が好みなんでしょうか。
(最近はずっと眉間のしわがとれない感じなんですが、少し体重は落ちたのかな、アゴのラインがシャープになった気がしました。感想→「シャッターアイランド」「ワールド・オブ・ライズ」「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」
子持ちの役も段々、さまになってきたように思う、そろそろ夫婦&家庭を扱った人間ドラマみたいなのも私は見てみたいの~^^

期待が大きかった分、蓋をあけてみたらガッカリ・・・なんて事になったらどうしよう、と若干不安もありました。
でも大丈夫、期待を裏切られる事はありませんでした、これは何より。
そしてこの映画、終わり方が好き。
余韻を残す終わり方でした。
どうやってラストの幕を引くか、その引き方ってポイントが高い所だと思うので。

INSEPTION  (2010)
 監督 クリストファー・ノーラン
 レオナルド・ディカプリオ ジョセフ・ゴードン=レヴィット 渡辺謙 
 マリオン・コティヤール エレン・ペイジ トム・ハーディ
 トム・べレンジャー キリアン・マーフィ マイケル・ケイン
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