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ヒア アフター [映画 *は]


ヒア アフター [DVD]
「ヒア アフター」、観ました。

死を身近に体験した人たちの苦しみと、そこから新たな一歩を踏み出す姿を描いたヒューマンドラマ。
監督は「インビクタス/負けざる者たち」「グラントリノ」のクリント・イーストウッド。

フランスの女性キャスター・マリーはバカンス先のビーチで大津波に巻き込まれ九死に一生を得る。
意識を失っていたその時、彼女は光に包まれ音の無い世界を体験した。
サンフランシスコで作業員として働くジョージは死者と対話できるという能力を持っているが、その力ゆえに生き辛い人生を歩んで来た。
イギリスに住む少年・マーカスは双子の兄・ジェイソンを事故で亡くし、悲しみから抜け出せずにいる。
死をめぐる体験から孤独や喪失感を味わう登場人物たちが、苦しみを乗り越え生きていく再生の物語。

イーストウッド監督らしい語り口でした。
“来世”や“スピリチュアル”といった謳い文句のイメージほど現実離れした話でもなく、図らずも死を身近に感じてしまった人達の孤独や苦しみをしっかりと描いていました。
霊能力を持つジョージも、その力を授かったが故に起こる周りとの摩擦や、実の兄にさえも彼の本意を理解してはもらえない、といった彼の人生の苦悩に重点を置いていたと思います。
ともすれば幻想的になり過ぎるところを、地に足の付いた物語にしている辺りは流石、イーストウッドだと感じました。

双子の兄を亡くしたマーカスは、現実を受け入れられずに兄を捜し求めます。
大切な人を失った喪失感を埋めてくれるものを求めては絶望を繰り返す少年の姿には、胸が痛みました。
演じた少年の表情の乏しさが、一層辛さを感じさせて・・・。

それぞれ違う人生を生きていた3人が、まるで運命に導かれるように1つの場所に集まり、その人生を交錯させるラストシーン。
ジョージとマーカス、2人の場面はやっぱりグッと込み上げるものがありました。
マーカスが兄の死を受け入れ新たな一歩を踏み出そうとする手助けになったのは、ジョージの持つ能力と言えると思うのですが、ジョージの優しさこそが最後の一押しになったような気がします。

ラブシーンは少し唐突だったようにも思えたのですが、人との出会いにはこんな不思議な運命もあるのかもしれません。

死を通じて生きることを描いていたのではないでしょうか。
登場人物たちが前進しようとする姿勢が窺える、希望の持てるラストで良かった。
流れる音楽もイーストウッドらしい、素朴だけど優しい音色でした。

HEREAFTER  (2010)
 監督 クリント・イーストウッド
 マット・デイモン セシル・ドゥ・フランス フランキー・マクラレン ジョージ・マクラレン
 ジェイ・モーア ブライス・ダラス・ハワード マルト・ケナー ティエリー・ヌーヴィック

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