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12人の怒れる男 [映画 *数字・アルファベット]


12人の怒れる男 [DVD]
「12人の怒れる男」、観ました。

継父を殺害した罪で裁判に掛けられた少年。
12人の陪審員の殆どは、数々の証拠や証言などから彼の有罪は確かなものだと思っていた。
だが、一人の男が疑問を投げかけた事により、審議は揺れに揺れる。
シドニー・ルメット監督の1957年の作品を、ロシアの二キータ・ミハルコフ監督がリメイク。
舞台もロシアに移し、紛争で孤児となったチェチェン人の少年が、自分を引き取り育ててくれたロシア人の将校である父親を殺害した嫌疑を掛けられている・・・と言う設定に。

11人の陪審員が少年の有罪を主張しますが、残された1人はまだ議論の余地があるのではないか、と無罪に1票を投じます。
12人全員の意見が一致しないと、結論は出せない決まり。
無罪となって晴れて放免か、あるいは終身刑で一生を刑務所で暮らすのか、2つにひとつ。
これから陪審員達の、長い長い審議が始まるのです。
まずは少年を有罪へと導いた数々の証拠を、じっくりと吟味し、自分達なりに調べ直す陪審員たち。
そうする内に陪審員たちは、自分の意見に対する自信がぐらつき始め、やがて少数派と多数派が入れ替わって行く・・・この辺りのストーリー展開はオリジナルにほぼ、忠実に作られていたと思います。

では、本作とオリジナルとの大きな違いは何か・・・それは審議の行われる会議室が舞台の“密室劇”であったオリジナルに対し、本作では審議のシーンと、少年が歩んできた人生の回想シーン、という2本柱で構成されている点でしょう。
審理のシーンはオリジナル同様、密室と言っても良いかと思うのですが、少年の回想シーンは主に彼が育ったチェチェンを舞台としていて、日の当たる屋外だっだり、動きの多い場面だったり。
紛争のシーンも、これは戦争映画?と思ってしまうようなリアルな映像。
それらが挿入される事により、オリジナルとは色合いの違った作品に仕上がっているのではないかと感じました。

それから陪審員たちの背景と言うか、この人はどうしてこのような考え方をする人なんだろう・・・という彼らの根本みたいな所を織り交ぜて、審議の場面にもじっくりと時間を掛けてました。
おかげで何と160分、かなり長尺な作品ではありますが、飽きさせず吸引力を持った作品になっています。
オリジナルの面白さを生かしながら、ロシアを舞台にすることで上手くアレンジも利いてたのでは。

それにしても、ラストではオリジナルと同じ判決を導き出しながらも、後味はまったく異なるものに…。
清々しく満ち足りた気分で終わったオリジナルに比べ、こちらは何かが胸につっかえるような、複雑な気分にさせられたのでした。

12  (2007)
 監督 二キータ・ミハルコフ
 セルゲイ・マコヴェツキー 二キータ・ミハルコフ セルゲイ・ガルマッシュ ヴァレンティン・ガフト
 アレクセイ・ぺトレンコ ユーリ・ストヤノフ セルゲイ・ガガロラ ミハイル・イェフレモフ
 アレクセイ・ゴルブノフ セルゲイ・アルツェイバシェフ ヴィクトル・ヴェルスビツキー
 ロマン・マディアノフ アレクサンドル・アダバシャン アプティ・マガマイェフ
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てくてく

c_yuhkiさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

xml_xslさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

トメサンさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

shinさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。
by てくてく (2009-10-11 08:25) 

ます

はじめまして。
私はオリジナルの映画を見たのですが、来る裁判員制度はうまくいくのかなぁと考えさせられました。映画はとっても面白い映画だったのでよかったのですが。
三谷さんの12人の優しい日本人もちゃんと見たことがないので、見てみたいなぁと思っています。
by ます (2009-10-11 12:49) 

CORO

あの地域の抱える問題が顔を覗かせていて
とてもやるせない気持ちになりました。
その現実の重さと美しい映像が非常に印象的でしたね。
by CORO (2009-10-11 22:40) 

てくてく

sora38さん。
はじめまして、こんにちは^^
nice!をありがとうございます。

ますさん。
はじめまして、こんにちは^^
日本でも裁判員制度が始まり、ニュースになりましたが、
ホントに始まったばかりで分からないことだらけですね。
映画の方はオリジナル、リメイクとも面白い作品だと思います。
簡潔に凝縮されたオリジナルに比べ、
こちらは広がりを見せていたと思います。
私も三谷さんの方は未見です^^そちらも面白そう。
nice!&コメント、ありがとうございます。

たねさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

てぷこだんさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

COROさん。
こんにちは^^
そうですよね、ロシアを舞台にしているというだけじゃなく、
そこでの問題や複雑な社会状況などを反映していたと思います。
記事の中には書いてないのですが、
チェチェンの地方のナイフを手にした踊りも印象的でした。
すごく美しいのだけど、同時に恐ろしくもある・・・。
COROさんの仰る重さと美しさを同時に表現していたシーンでもあると思います。
nice!&コメント、ありがとうございます。

るるさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。
by てくてく (2009-10-12 11:49) 

てくてく

ムネタロウさん。
こんばんは^^
いつもnice!をありがとうございます。
by てくてく (2009-10-17 01:07) 

non_0101

こんにちは。
これまで知ることの無かった現代のロシアを実感させられる作品でした。
もし無罪になっても、その後はどうなるかというところはかなりショックでした~
陪審員はその罪だけでなく未来や人生も考えなくてはならないだなあと
しみじみ考えさせられました☆
by non_0101 (2009-10-18 11:02) 

てくてく

nonさん。
こんにちは^^
すごく見ごたえのある作品でしたね。
長さなんて忘れて見入ってしまいました。
考えてみたら結論が出たら終わりではないのですものね。
少年の人生はこれからなのですから。
その未来が明るい事を祈ります・・・。
nice!&コメント、ありがごうございます。
by てくてく (2009-10-18 17:46) 

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