SSブログ

クレイジー・ハート [映画 *か]


クレイジー・ハート [DVD]
「クレイジー・ハート」、観ました。

人生の折り返しを過ぎたカントリーミュージシャンの挫折と再生を描いたヒューマンドラマ。

ミュージシャンとして成功を収め一世を風靡したバッド・ブレイク。
57歳を過ぎその栄光も過去のものとなってしまった今でも、現役の歌手である。
酒が手放せず腹の出っ張った中年男、新曲は浮かばず過去のヒット曲を歌い続ける。
舞台は片田舎のバーであったりボーリング場であったり。
それでも彼のステージを喜ぶ観客はかならずいてくれる。
そんなある日、興行で訪れたサンタフェの町で地元紙の記者・ジーンという女性と出会い・・・。

ジェフ・ブリッジスが演じるバッド・ブレイクというカントリー歌手。
落ちぶれて地方回りの日々、しかも興行に出掛ける時は年季物の愛車のハンドルを自ら握り、時には千キロを超える道のりを一人で旅するのです。
そんなバッドの道連れはギターと酒瓶。
車を運転している時、家でくつろいでいる時、絶えずベルトを外してウエスト回りを楽にしているバッドが何ともお茶目でした。
お腹が太って窮屈で、緩めたくなる気持ちは分からなくもない^^;
自然体で気負いが無い、落ちぶれた事実に対しても既に自分の中で壁を乗り越えていて、ある意味諦めの境地に達しつつある人のように見えました。

そうは言ってもバッドの人生がこのままで良いのかと言えばそうでもない。
一番の問題は彼のアルコールに依存した生活。
このままの状態を続けていれば歌手生活に支障を来たす事は目に見えているし、命にも関わることになりかねない。
荒む一方だったバッドの人生が、シングルマザーのジーン、その息子のバディと出会った事で転機を迎えることになっていくのです。

一人の男が歩いてきた人生、を感じさせる映画でした。
きっと良い夫でも、良い父親でもなかった、好きなことを追求するあまり自分勝手に生きてきた人生。
年老いた今のバッド・ブレイクは、男としては十分過ぎるほど家事も手馴れていて人間も丸い。
若かりし彼から現在の彼に至るまでの間には、数々の挫折を味わい砂を噛む思いもした筈。
そういうバッドの背景を感じさせるジェフ・ブリッジスの味わい深い演技が素晴しかった。
勿論、全編を通して聞くことが出来る彼のカントリーも聞き応え十分。
ウエスタンハットにブーツ、というスタイルも正にアメリカって感じで格好よすぎでした。

脇を固めた俳優陣も負けておらず、ジーン役のマギー・ギレンホール、バッドの弟子で売れっ子歌手役のコリン・ファレルも良かった。
コリンは前はホントに良さが分からなかったのですが、この前の「ウディ・アレンの夢と犯罪」に続いて今回も新しい面を見せてもらった気がします。私の中で株は上がる一方^^
そしてロバート・デュヴァル。
バッドの友人・ウェイン役でしたが、2人の友人関係を通して透けて見える人間性、というのがすごく良かった。
ウェインのバッドに対する愛情ある接し方を見るにつけ、それがバッドの人の良さをも表現していると思いました。
ウェインの優しさは合わせ鏡のようにバッドの優しさでもある、と言えるのでしょうから。
ロバート・デュヴァルとジェフ・ブリッジス、2人のシーンでは何度かじんわりと込み上げて来るものがありました、さすが燻し銀です。

アメリカ南西部の無限とも思える風景が広がり、ロードムービーとしても楽しめる。
もちろん音楽も・・・と言うことで一粒で2度も3度も美味しい映画。
味付けは大人向きではありますが^^

CRAZY HEART  (2009)
 監督 スコット・クーパー
 ジェフ・ブリッジス マギー・ギレンホール ロバート・デュヴァル
 ライアン・ビンガム コリン・ファレル ポール・ハーマン
nice!(8)  コメント(6)  トラックバック(2) 
共通テーマ:映画

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。