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ミリオンダラー・ベイビー [映画 *ま]


ミリオンダラー・ベイビー [DVD]
「ミリオンダラー・ベイビー」、観ました。

年老いたボクシングトレーナーと、彼のもとでボクシングに全てを掛ける女性の姿を描いたヒューマンドラマ。
クリント・イーストウッド監督作品。

試合中に傷を負ったボクサーの止血係として生きてきたフランキーは、歳を取った今でもボクシングから離れられず、ロサンゼルスで小さなボクシングジムを経営している。
手塩に掛けてきた有望株のボクサーをタイトル戦に挑戦させようとした矢先、よそのジムに移籍されてしまいショックを隠せない。
そんな折、彼のジムの門を叩いた一人の女性。
彼女はマギーというボクサーで、フランキーにトレーナーになって欲しいと申し出るのだが・・・。

ジリ貧の生活をしながら、バイト代はボクシングのために・・・。
コツコツと練習し努力を惜しまないマギーですが、フランキーは相手にしません。
“君は幾つだ。”“今度の誕生日までは31です。”“歳を取りすぎている。”
“女性にもボクシングを教えるジムは幾らでもある、よそへ行け。”
にべも無いフランキーですが、結局はマギーの熱意に負けトレーナーを引き受けることになるのです。

フランキーの気持ちを変えたのは、スクラップという男の一言もありました。
“マギーには才能がある。”
スクラップはかつてボクサーとして活躍した過去を持つ男で、若き頃にはフランキーと各地を転戦しました。
念願のタイトル戦で敗北し、その時彼の右目は視力を失った。
今ではフランキーのジムで寝泊りしながら様々な雑用をこなす彼ですが、ボクサーたちに目配りは忘れない。
ぶっきらぼうで口の悪いフランキーの善き女房役・・・という所でしょうか。
フランキーとスクラップの二人から目を掛けられたマギーは、本人の努力も手伝って、メキメキと実力をつけて行きます。

各地で試合に勝ち続け、破竹の勢いで女子ボクシング界で名を馳せるマギー。
そしていよいよ臨んだタイトルマッチで、とんでもない悲劇がマギーを襲い、彼女は二度とリングに立つ事が出来なくなってしまうのです。

「インビクタス/負けざる者たち」でも迫力のラグビーシーンが挿入されていましたが、本作のファイトシーンも非常に力が入ったものでした。
マギーを演じたヒラリー・スワンクが、ボクサーの身体を全身で表現。
肉体と肉体のぶつかり合い、飛び散る汗と血しぶきの迫力を感じました。
こういう所も一切手を抜かない、監督のこだわりですね^^

一戦一戦、戦うごとにフランキーとマギーの師弟の絆は強固になって行きます。
その過程で2人の間には、師弟の関係を超えた新たな繋がりが生まれたように感じられました。
そう、それはまるで・・・父と娘。
ボクシングに没頭する余り、家庭を顧みることを忘れて生きてきたであろうフランキー。
フランキーと実の娘の間には、埋めようにも埋まらない深い溝が存在して久しい。
かたや、貧困から金の亡者となった自己中心的なマギーの家族。
マギーの幸せな思い出は、おそらく幼い頃に亡くなった父親との楽しかった記憶のみであろう。
家族の縁というものに恵まれなかったフランキーとマギーが、映画後半まるで擬似家族に見えてくる。 
フランキーがとった行動はあれで良かったのか?という疑問がずっとついて回るとは思うが、やはり愛が無ければ出来ない事だとも思う。
一見つっけんどんだが実は繊細な心の持ち主であるフランキーが、苦悩し一つの答えを導き出すラストまで、涙無しでは観られなかった。

そしてこの2人を、常に暖かくも冷静沈着な目で見つめる語り部、モーガン・フリーマン演じるスクラップ。
彼の存在がこの物語を見事に引き締めていたと思います。

MILLION DOLLAR BABY  (2004)
 監督 クリント・イーストウッド
 クリント・イーストウッド ヒラリー・スワンク モーガン・フリーマン
 アンソニー・マッキー ジェイ・バルシェル マイク・コルター 
 ブライアン・オバーン マーゴ・マーティンデイル マイケル・ペーニャ
 ベニート・マルティネス ブルース・マックヴィティ
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てくてく

ナノノさん。
こんばんは^^
いつもnice!をありがとうございます。

xml_xslさん。
こんばんは^^
いつもnice!をありがとうございます。

takemoviesさん。
こんばんは^^
いつもnice!をありがとうございます。
by てくてく (2010-05-20 23:27) 

hash

何度観ても、涙なしでは済みませんね。
このような完成度の高い作品を連発するC・イーストウッド監督の神がかり的手腕には改めて驚かされます。
by hash (2010-05-21 00:33) 

てくてく

hashさん。
こんにちは^^
流石、イーストウッド監督ですよね。
じっくりと染み入るような
感慨深い作品でした。
神がかり的とは言いえていますね^^
nice!&コメント、ありがとうございます。

おぉ!次郎さん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

てぷこだんさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。

タケルさん。
こんにちは^^
いつもnice!をありがとうございます。
by てくてく (2010-05-22 14:24) 

ken

いくつか注文をつけたいところはあるんですが、
それでも素晴らしい作品だったと思います。
僕はこの映画を観て、妻に送った婚約指輪に「Mo Cuishle」と彫りました。
by ken (2010-05-23 00:52) 

coco030705

こんにちは。
やはりクリント・イーストウッド作品の中でも、見逃せない一作なんでしょう。イーストウッドとモーガン・フリーマンはすばらしいコンビですね。
まだ未見ですが、ぜひいつか観てみたいと思います。

by coco030705 (2010-05-23 13:05) 

てくてく

kenさん。
こんばんは^^
kenさんのご結婚に纏わる素敵なエピソードですね。
映画にかけられているところがkenさんらしいです^^
「Mo Cuishle」の意味が分かるシーンでは
私はボロ泣きしてしまいました。
nice!&コメント、ありがとうございます。

ココさん。
こんばんは^^
そうですね、深い味わいのある作品だと思います。
ちょっと「グラントリノ」と系統が似ているのかな、と思ったり。
頑固な爺さんっていうキャラが似ているのかもしれない。
いい映画だと思います。
モーガン・フリーマンとのコンビもいいですよね^^
是非、ご覧になってみて下さい。
nice!&コメント、ありがとうございます。
by てくてく (2010-05-24 22:54) 

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